相続手続き

相続とは、亡くなった方の財産を残された方が引き継ぐことです。誰もが関わる可能性がありますが、相続財産の調査や名義書き換えの手続きは複雑で時間がかかることも多いでしょう。

 また、普段関わりがない親族と連絡を取ったり、遠方の親族と話し合いが必要な場合もあります。

 

太田司法書士事務所では、相続に関わる皆様の負担を少しでも減らせるよう、必要な手続きや書類の作成など、丁寧にサポートいたします。


相続財産の名義変更手続き

相続手続きを進めていくに当たり、まずは遺言の有無の確認、相続人の調査、相続財産の把握をしていきます。

遺言の有無の調査

遺言書の有無はその後の手続きなどに大きな影響を及ぼします。このため、まずは遺言の有無を確認することから始めましょう。遺言書の存在を知らされていない場合でも、遺言が残されていることがあります。

 

遺言が残されているかどうか確認する際のポイントは次のとおりです。

  • 遺言書がありそうな場所(金庫の中、神棚や仏壇の周り、机や本棚、お気に入りの本の間)を探す
  • 預けている場合(知人、知り合いの弁護士、税理士、行政書士などの専門家)もあるので、郵便物を確認する
  • 公正証書遺言と秘密証書遺言の場合、昭和64年1月1日以降に作成されたもの(東京公証人会所属公証人作成のものは昭和56年1月1日以降)については、公証役場の遺言書検索システムで遺言の有無を検索することが可能です。 

遺言書検索の依頼は、全国各地の公証役場で可能で、遺言者が作成した公証役場に限定されません。

 

なお、公正証書遺言以外の遺言があった場合には、「検認」の手続きを家庭裁判所で行う必要があります。

相続人の調査・確定

遺言書がない場合に相続手続きを行うためには、客観的な証拠に基づいて相続人を確定して証明する必要があるため、故人の出生から死亡までの戸籍謄本、改正原戸籍、除籍謄本などを取得します。

 

相続人は、遺言書がある場合を除き、次のとおりです(法定相続人)。

順位

相続人 法定相続分

常に相続人

配偶者  相続財産の全て
第1順位  子(配偶者とともに相続人) 配偶者2分の1・子2分の1
第2順位 直系尊属(子がいないときのみ相続人) 配偶者3分の2・直系尊属3分の1
第3順位 兄弟姉妹(子、直系尊属がいないときのみ相続人) 配偶者4分の3・兄弟姉妹4分の1
  • 配偶者は、常に相続人ですが、離婚された方や内縁関係にあった方には、相続権は発生しません。
  • 第1順位の子は、実子であっても養子であっても差はありません。
  • 第2順位の父母が両方とも先に死亡していて、祖父母が健在の場合、祖父母に第2順位の相続権が発生します。

代襲相続について

 子や兄弟姉妹が相続人となるはずであったが、既に子や兄弟姉妹が死亡している場合などに、その者の子が代わりに相続人となることを「代襲相続」といいます。

 

代襲相続権を有すべき子が先に死亡していた場合には、「再代襲相続」として孫、ひ孫等の代まで相続権は及びます。

ただし、兄弟姉妹の場合は、その子までで孫には「再代襲相続」はありません。

 

相続人が相続欠格者である場合と、相続人廃除となった場合にも代襲相続します。

相続人が相続放棄をした場合は、代襲相続にはなりません。

相続財産の把握

遺産分割協議や相続放棄を行うにあたっては、故人にどのような財産が残されていたかを把握することがとても重要です。

相続財産には、プラスの財産(不動産や預貯金等)とマイナスの財産(借金等)があります。

 

どのような財産が相続の対象となるか、一例をご紹介します。

不動産

不動産は、「登記識別情報」(権利証)や「固定資産税の納付書」等を探すことで、残されているかどうか確認できます。

市役所等にある「名寄帳」から故人の所有している土地や建物を調べることもできます。

故人が所有している不動産がわかったら、「登記事項証明書」等を取得します。その不動産が、故人の単独名義か?共有名義か?担保権が設定されているか?等を確認できます。

預貯金等

故人の預金通帳があれば、その金融機関で「残高証明書」の取得をします。

故人宛の郵便物を確認することで、取引のあった金融機関や証券会社が判明することもあります。

借金

故人の持ち物の中に、金融機関等との間で締結された金銭消費貸借契約書、キャッシュカードや利用明細書等がないか調べます。

故人宛の郵便物を確認することで判明することもあります。

不動産の名義変更手続き

不動産の所有者が亡くなった場合、登記記録の所有者を故人(被相続人)から相続人に変更する手続きを、相続登記と呼んでいます。

 

相続登記(相続不動産の名義変更)手続きに必要な書類は、遺言書の有無や、遺産分割協議の有無等により異なります。

遺言書がない場合の必要書類

法定相続分の割合で相続する場合及び遺産分割協議の結果に基づいて法定相続人が相続する場合

  必要書類 備考
 被相続人に関する書類  被相続人の出生から死亡に至るまでのすべての戸籍謄本等  
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 登記記録上の住所とつながらないときは追加書類が必要
相続人に関する書類 相続人全員の戸籍謄本 重なるものは1通で可
相続人の住民票または戸籍の附票 相続する人のみで可
遺産分割協議書 法定相続分で登記する場合は不要
相続人全員の印鑑証明書 法定相続分で登記する場合は不要
その他 固定資産評価証明書 評価額がわかるもので可の場合もある

遺言書がある場合の必要書類

遺言書に基づいて法定相続人が相続する場合の必要書類

  必要書類 備考
 被相続人(遺言者)に関する書類 遺言書 公正証書遺言以外検認手続きが必要
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本  
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 登記記録上の住所とつながらないときは追加書類が必要
相続人に関する書類 遺言により相続する相続人の戸籍謄本等 被相続人の法定相続人である事が証明できる戸籍謄本等
遺言により相続する相続人の住民票または戸籍の附票  
その他 固定資産評価証明書 評価額がわかるもので可の場合もある